航海

航海1

航海1

……緑は無く、見渡す限り砂漠が視界に広がっている……

 ……動くものも見られなければ、気配すら感じ取れない……

……地球は荒廃していた……

……手のつけようのない程……絶望的なまでに……

どの位の年月が経ったかは定かではない。

かつて、地球全土に及ぶ災害が起こった。

当時の記録と、検証によると、直径数キロの隕石が地球に衝突したという。更にその二次災で、 

ありとあらゆる生物を殺戮し、地球の生態系を激変させる程の威力と、数千年経過しても消えない毒性を兼ね備えた悪魔のような物質が、地球上に降り注いだ。

 『死の灰』と言い伝えられている物質だ。

 『発電所』というものから『死の灰』が飛散した、『ミサイル』という兵器が誤作動を起こして『死の灰』がバラまかれた、等々…諸説はたくさん沢山ある。

「……もっともそんな説など、今暮らしている俺達にはどうでもいいことだが、な……」

男はそんなことをボソリと呟いた。

コンピューターの画面から目を離し、人工合成のコーヒーを口元に運ぶ。

『死の灰』に侵された大地で生産された作物を口にすることはできない。今の時代では人工合成された作物が一般人民の主食だ。