航海

航海5

航海5

そう呟き、踵を返し、自分の部屋に戻ろうとする。

「P4がそっちに逃げたぞぉぉぉ!」

警備兵の声。

P4はバーンハルトの背後から凄まじいスピードで迫って来た。

P4が目の前の障害物を排除しようと、大型の剣を振り回してきた。

バーンハルトは持っていた短剣を反射的に取り出し、P4の斬撃をかわし、振り向きざまに短剣でP4を切りつける。

浅い!

これでは致命傷にはならない。

P4は右肩の傷を手で押さえながら、スピードは全く落とさずに駆け抜けていく。

「待てっ!」

そう叫んだ時にはP4はバーンハルトの視界から消えていた。

近くにいた警備兵がこちらに駆け寄ってくる。

「大丈夫ですか!」

「……大したことはない…」

バーンハルトの額から一筋の血が流れていく。

「……厄介な仕事が一つ増えたな…」

額から流れる血を手の甲で拭い、バーンハルトはぼそりと呟いた。

数時間後

バーンハルトはマートンに呼び出されていた。部屋にはマートンの他にもう一人、高位の階級と思われる、豊かな髯を蓄えた初老の人物が椅子に座り、マートンとバーンハルトを見つめていた。

「今回の失態はなんだ、バーンハルト!何故奴を、P4を逃したのだ!」

顔を紅潮させ、マートンはヒステリックに叫ぶ。

反論したいが、P4を逃してしまったのには、確かに自分もある程度の責任がある。

「……申し訳ありません……」

バーンハルトは拳をギリギリときつく握り締め、マートンの詰問に耐える。